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園づくりの技②
【ペーシング】互いに心を開く“寄り添い”の姿勢

2023.04.03

理想の保育の実現に不可欠なもの、それはチームワーク。
職員一人一人がよさを発揮できる園を目指して、チームづくりに役立つ“技”を梅花師匠が伝授します!

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苦手な人との距離を縮めよう

 あなたは職場に苦手な人がいますか? 意見が合わない、コミュニケーションが取りづらいなど、苦手な人がいて、やりにくさを感じたことは? 苦手な相手とは最低限のやり取りしかしないという人もいるでしょう。でも、それってとても危険! 保育はチームワークが命。日頃のコミュニケーション不足から、思わぬ事故につながることも……。そこで今回は、相手との一体感が生まれる「ペーシング」の技を身につけましょう。
 「ペーシング」とは、相手の話し方・様子・呼吸に自分が合わせること。カウンセリングなどでよく用いられる手法で、相手と同じタイミングで呼吸し、話す速さやトーン、表情や身振りを相手に合わせたり、相手の言葉を繰り返したりします。相手と同じ動作を行うことで、自然と一体感が生まれ、互いの警戒心がほどけて心理的な距離が近づくという効果があります。
 ペーシングを使って、苦手な人との間にある壁を壊し、信頼関係を築けるようになれば、仕事がますますスムーズになりますわよ!

この技は、こう使え!
呼吸を合わせることに集中する

 ペーシングをするときは、相手の話す内容について評価せず、ただ相手の動きを観察し、無心で呼吸を合わせるところから始めましょう。ペーシングで生まれる一体感によって、相手は心を開き、安心して本音で話してくれるようになるはずです。
 一方、あなた自身も呼吸のペースを合わせることで、相手への苦手意識や抵抗感が薄まり、「正しい」「間違っている」といった自分の判断をわきに置いて、相手の存在に寄り添えるようになります。
 自分とは異なる価値観をもつ相手の考えを尊重し、しっかりと耳を傾けることができるようになると、双方の信頼関係はぐっと深まりましてよ。

こんなときにも効く
苦手な相手にこそ効力を発揮

 日頃、理解できないと感じている相手や、意見の衝突が多い相手にこそ効力を発揮するのがペーシング。話をなかなか聞いてくれない保護者や、「なんでこんなことしちゃうの?」と、行動の理解が難しい子どもに対しても試してみてくださいな。
 相手に寄り添うペーシングは、自分の価値観を押し付けずに、相手をより深く理解しようとする姿勢にもつながります。苦手な相手には、まずペーシングで心理的な距離を縮めるところから始めましょう。その上で、価値観の異なる相手を尊重する気持ちを忘れずにコミュニケーションを取るようにすると、よりよい関係が築けるようになりますわ!

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指導:松原美里

保育コミュニケーション協会代表

保育園、児童養護施設で保育者として勤務。元認定こども園エクレス保育園部施設長。コーチング、心理学等を学び、現在は保育者の人間関係・育成・リーダーシップ・マネジメント研修を担当。

イラスト:えのきのこ

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