園づくりの技③
【自己開示のワーク】相互理解を深める4つの質問
2023.05.02
理想の保育の実現に不可欠なもの、それはチームワーク。
職員一人一人がよさを発揮できる園を目指して、チームづくりに役立つ“技”を梅花師匠が伝授します!
質問を通して
気軽に話せる関係に
チームワークが悪いというほどではないけれど、話すときに気を遣ってしまう、気軽に相談できない、なかなか本音を伝えられない……。そう感じたことはありませんか? 気軽に話しかけたり相談したりできないのは、職員同士の心の距離が遠いのかもしれませんわね。こまめに声をかけ合い、なんでも気軽に話せると、情報共有がスムーズにいき、互いのサポートもしやすくなりましてよ。
そこで今回は、近いようで遠い職員同士の距離をぐっと縮めるワークを試してみましょう。 これは、自分の①好きなこと②得意なこと③苦手なこと④周囲へのリクエスト、の4つの質問について、相手と答えを伝え合うというもの。
このワークは、自己認知→自己開示→相互理解→他者信頼というプロセスをたどります。まず自分を振り返り、次に相手に心を開き自分を知ってもらう。すると、相手のこともよく知りたいと感じ、距離が近づきます。距離が縮まると、気軽に話しやすくなり、それが支え合えるチームの土台となります。一緒に試して、“声を掛け合える仲間”を目指しましょう!
この技は、こう使え!
ワークは1対1で行おう
このワークは、新年度が始まって少し落ち着いたとき、組織内で大きな異動があったときなど、チーム内でまだ緊張や遠慮が強い時期に、全員でやってみるのがお勧めです。歓迎会で「みんなをよく知ろう」という名目で行ってもいいですわね。
ワークを行うときは、一人が全員の前で発表するのではなく、向かい合って1対1で伝え合い、それを全員と総当たりで行うのがベターです。大勢の前での自己開示は、緊張して本音が出づらいもの。それに、チームの土台となるのは、あくまで自分と職員一人一人との関係性です。個人同士の絆が構築され、その糸が掛け合わさって頑丈なチームを形作るのです。
こんなときにも効く
心理的安全性をもたらす
長年一緒に働いているチームにも、このワークは有効です。人はつい、「この仕事ができるから認める」という条件付きで相手を承認しがち。でも、4つの質問で多面的にその人を理解すると、「できる・できない」で見ていた視野がぐっと広がります。「何かをする・できるから価値がある」のではなく、「存在そのものを受け入れる」という認識に変われば、一人一人の心理的安全性につながり、安心して働ける職場に変わっていきます。また、相手との距離が近づくことで、周囲に頼ったり相談したりしていいんだと思え、互いに支え合う関係が築けます。それこそが、強いチームワークの土台となりましてよ。
指導:松原美里
保育コミュニケーション協会代表
保育園、児童養護施設で保育者として勤務。元認定こども園エクレス保育園部施設長。コーチング、心理学等を学び、現在は保育者の人間関係・育成・リーダーシップ・マネジメント研修を担当。
イラスト:えのきのこ