ほいくあっぷWeb > 読み物 > 園づくりの技⑥【伝達と共有】あたりまえバスター

園づくりの技⑥
【伝達と共有】あたりまえバスター

2023.08.01

理想の保育の実現に不可欠なもの、それはチームワーク。
職員一人一人がよさを発揮できる園を目指して、チームづくりに役立つ“技”を梅花師匠が伝授します!

サムネイル

「あたりまえ」への違和感をスルーしない

 新しい職場で、業務のやり方がこれまでと違ったとき、「このやり方って、意味あるのかなあ?」「これって、なんでやってるんだろう?」と、モヤモヤすることはないかしら。
 そこで先輩に素朴な疑問としてぶつけてみても、「これがうちのやり方だから」と一蹴されたり、「嫌だったら前の園に戻ったら?!」と見事に地雷を踏んじゃったりすることも……。
 一方、逆の立場に立つと、新人や中途採用の保育者さんからそんな質問をされたら、「なんであたりまえのことを聞くの?」と思ってしまいがち。でも、ちょっと待って! 現場の中で生まれたそんな違和感は、なにかしらの無駄や形骸化された業務があることのサインなのよ。
 そんなサインを見逃さず、いままであたりまえにやってきたことは本当に必要なことなのか、それをやっている本来の目的は何かをみんなで共有して、よく考えてみて。そこで、無駄なことやいまの価値観に合わないやり方が見つかれば、改善につなげることができるでしょ。今月は、そんなあたりまえを打ち破って、もっと働きやすい職場にする技を伝授するわよ。

この技は、こう使え!
「あたりまえ」を疑ってみる

 どんなに小さな違和感でも、スルーしないのが大事。これまで園であたりまえにやっていたことで「?」と思うことがあったら、遠慮せずに言ってみる。みんなで話す場を意識的に設けるのもいいでしょう。
 ここでルール化してほしいのが、出された疑問を否定しないこと。すると、「じつは私もそう思ってた!」などと、本音が出てくるはず。みんなが自由に意見を言える雰囲気になれば、職場の風通しも良くなるわ。
 従来のやり方の良し悪しはとりあえず横に置き、それをやることの目的は何かをまず明確にする。そして、その目的を達成するために、みんながより納得できる別の方法を探るのよ。

こんなときにも効く
働き方改革の近道にも?!

 職場の人間関係を傷つけないためには、我慢してその場のやり方に染まった方がラクかもしれない。でもそれでは、心から仕事を楽しめないし、チームワークも深まらない。こんなふうに職員の居心地を悪くする業務の「あたりまえ」を見直すことが、結果的に働き方改革の近道にもなり得るのよ。
 ただし、やり方だけを変えても、その根っこにある考え方や価値観が変わらなければ、また別の違和感が出てくる可能性も。時間をかけてつくり上げてきた園の文化や価値観を変えるのにはパワーがいるけれど、焦らず、腐らず、ゆっくりと、深いところから問い直すことを忘れずに臨みましょう。

サムネイル

指導:松原美里

保育コミュニケーション協会代表

保育園、児童養護施設で保育者として勤務。元認定こども園エクレス保育園部施設長。コーチング、心理学等を学び、現在は保育者の人間関係・育成・リーダーシップ・マネジメント研修を担当。

イラスト:えのきのこ

読み物一覧

TOP