園づくりの技⑨
【チーム力の強化】All for Oneの法則
2023.11.02
理想の保育の実現に不可欠なもの、それはチームワーク。
職員一人一人がよさを発揮できる園を目指して、チームづくりに役立つ“技”を梅花師匠が伝授します!
仕事を辞めたい
本当の理由は?
突然、「思うところがあり、辞めさせていただきます」という職員が現れてあたふた。まさかこの人が!なんてことない?
理由を明かさないのは、「この職場で相談しても、きっと自分の悩みは解決しない」と諦めているからかも。退職理由は人それぞれだとしても、それは本当に辞めなければ解決しない問題なのか。管理者は、そこをきちっと見極める必要があるわね。
理由は、職場の人間関係? 業務の負担が大きすぎる? あるいは経済的理由? まずは本人の悩みを真摯に聞いて、辞めずに解決できる方法を本人と一緒に考えていきましょう。
なぜなら、その悩みはその人だけのものではなく、ほかの職員も抱えているというケースが多いから。本人は辞めれば悩みから解放されるかもしれないけれど、園としては、その問題を放置し続ければ、また別の人が同じ理由で辞めてしまい、負のスパイラルよ。
「辞める」「辞めない」だけでなく、誰かが問題を抱えているとき、個人の問題と片付けず、全員の問題として捉える方が、園づくりにも役立つの。ではどうやって? 技を伝授するわ。
この技は、こう使え!
発言しやすい職場づくりを
理由をうやむやにして「辞めたい」と言う人がいたら、それは職場に疑問を言わせないような圧力、空気があるからなのかも。
それなら、職員同士、何でも言える環境を整えるのが急務ね。あいさつや雑談を重ねて、安心できる関係を築くことよ。
その上で、職員会議では「相手の発言を受けとめる」のをルールにするなど、意見や疑問を言いやすい雰囲気づくりを心がけて。小さなことでも気になる点を発言できれば、課題を一緒に考える雰囲気が生まれ、ほかの職員も「私も言っていいんだ」と思えるはず。そんな風通しがいい環境ができると、人は簡単には辞めません。
この技を使うコツ
気軽に「ヘルプ」を出す!
辞めないまでも、家族の介護や看病、心の問題など、人知れず悩みを抱える職員は多いもの。けれど「シフトを減らしてほしい」とは言いづらいのよね。
でも一人で悩まず、問題をみんなで共有して解決策を探しましょう。なぜなら、そこで得た解決策は、また別の職員が同じ問題を抱えたときに役立つから。いつか同じ問題が自分にも起きるかもと思えば、「あの人だけずるい」なんて思わず、互いにいたわりあえるはず。
気軽に「ヘルプ」を出し合い、助け合う雰囲気ができると、職場全体も明るくなるわ。一人はみんなのために、みんなは一人のために。その最大のコツは、「心を開き合うこと」よ。
指導:松原美里
保育コミュニケーション協会代表
保育園、児童養護施設で保育者として勤務。元認定こども園エクレス保育園部施設長。コーチング、心理学等を学び、現在は保育者の人間関係・育成・リーダーシップ・マネジメント研修を担当。
イラスト:えのきのこ