ほいくあっぷWeb > 読み物 > 園づくりの技⑪【ゴールを明確に】共通ゴール設定の術

園づくりの技⑪
【ゴールを明確に】共通ゴール設定の術

2024.01.05

理想の保育の実現に不可欠なもの、それはチームワーク。
職員一人一人がよさを発揮できる園を目指して、チームづくりに役立つ“技”を梅花師匠が伝授します!

サムネイル

理想・現状・方法の順で考える

 園で働く誰もが、園や保育への理想があるはず。だけど、日々の忙しさの中で、それを振り返る余裕がないこともあるわね。でも、そうするうちに、いつの間にか現状が理想からかけ離れたり、仲間同士の気持ちがバラバラになったりする危険が!
 そうならないために必要なことは、まずは目指すゴールあるいは未来像(目標とする状態)をみんなで設定すること。そして、ゴールに向かう道のりをみんなで探すこと。今回は、そのための戦略的な思考を教えるわ。
 初めに、みんなでゴールを定めます。次に、現状はどうなのかを振り返ります。すると、理想と現状の間に隔たりがあることが分かるはず。そうしたら、現状からゴールに向かうための過程(道のり)を、みんなで考えるのよ。
 これは、アメリカの経営コンサルタントのロバート・フリッツが考えた思考法を参考にしたもの。やみくもにやり方を変えることばかり考えるのではなく、理想・現状・方法の順に考える方が、思考が働きやすいの。
 この思考をみんなで行うことで、ゴールが共通のものとなり、力を合わせて考えていく、という点でチーム力も強化されるわ。

この技は、こう使え!
具体的なビジョンを描く

 ゴール(目標)を設定する際は、初めにたっぷりと時間をかけて、それぞれふせんに書いて貼るなど、みんなが思いをしっかり出し合えるように工夫を。
 そして、共通のゴールを決める際は、最初から細かく具体的なものにするのではなく、抽象的でもいいので、全員が納得できる大枠のものにしましょう。
 大枠のゴールを設定したら、「そのための環境は?」「そのときの子どもの表情は?」「私たちの気持ちは?」などと、具体的なビジョンを思い描いていくの。そうすることで、ゴールがみんなの中で具体性をもって立ち上がってきます。理想の状態を思い描く過程は、気分も上がって楽しいひとときになるはずよ。

この技を使うコツ
モヤモヤもしっかり味わう

 ゴールを設定するワクワク感からアイディアがひらめくことも多く、つい「現状を振り返る」段階を飛ばして、「道のりを考える」段階に進みがちだけど、これはNG。現状の認識を踏まえずに考えた道のりは、ゴールにつながらない可能性も!
 ゴールを設定したら、必ず次は現状を思い起こして、ゴールとのギャップに気づく過程を経ましょう。ここで「ワクワク」は「モヤモヤ」に変わるけれど、それが大事。モヤモヤすると、頭が回転し始めて、それを解消する「道のり」が浮かぶはず。
 この道のりを、みんなの知恵を結集して出すことで、園全体のモチベーションが上がること間違いなし!

サムネイル

指導:松原美里

保育コミュニケーション協会代表

保育園、児童養護施設で保育者として勤務。元認定こども園エクレス保育園部施設長。コーチング、心理学等を学び、現在は保育者の人間関係・育成・リーダーシップ・マネジメント研修を担当。

イラスト:えのきのこ

読み物一覧

TOP