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園づくりの技⑫ (最終回)
【ゴールを明確に】奥義!ファシリテーションの術

2024.02.02

理想の保育の実現に不可欠なもの、それはチームワーク。
職員一人一人がよさを発揮できる園を目指して、チームづくりに役立つ“技”を梅花師匠が伝授します!

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それぞれの意見から問題の本質を抽出

 多くの人が働いている職場では、それぞれに意見や立場、価値観があるから、意見がぶつかってまとまらないのは当然。でも、“三人寄れば文殊の知恵”というように、多様な意見をまとめあげることができれば、さまざまな課題を解決できるようになるのよ。ただ、そのためには多くの意見をまとめ、共通の目標に向けてみんなが納得する形でまとめる人が必要。そんな役割を担うのがファシリテーター。「話し合いを円滑に進める人」「場を整理する人」のことよ。
 たとえば、園の保育をみんなで見直す場合、それぞれの意見をただ順に聞いて並べていくだけでは、何が問題なのかを把握するのに時間がかかるし、話し合いも深まりにくい。そんなときにファシリテーター役が意見を言いやすい場をつくり、状況を整理して問題の本質を抽出できれば、場の中で気づきが起こって課題解決の道筋が見えてくるようになるのよ。
 言ってみれば、これまで伝授してきた園づくりの技を総動員し磨き上げたものが、ファシリテーション。奥義を極め、話し合いの場を交通整理しつつ、課題解決力のある園づくりを!

この技は、こう使え!
中立の立場で意見を聞く

 ファシリテーターは、中立の立場でみんなの意見に耳を傾けることが大事。だから「自分はこう思うけど、みんなはどう思う?」という聞き方は当然NG。自分とは反対の考えも受け止めなくてはならないので、感情に流されない胆力も求められます。とにかくメンバーへの影響力が強い存在だと自覚して。
 また、参加者が忖度せず本音を言えるようにするのも腕の見せどころ。そういう意味では、問題の当事者や上長の立場の人は、この役には向かないわね。
 そして、まとまりのない意見でも、大事な部分を読み取って提示すること。それにより議論が整理され、メンバーも感情的にならずに話し合えるはずよ。

この技を使うコツ
ささいな話題で日々筋トレ!

 ここまで読んで、「ファシリテーターの任務、重すぎ!」と思うかもしれないけれど、ファシリテーターのスキルは、会議の場に限らず、日常のちょっとした会話でも鍛えられるわ。
 たとえば、みんなで食べるホールケーキの種類を決めるとき。「どれがいい?」と食べる人たちみんなの意見を聞きながらすり合わせて、まとめるでしょ? そんなときこそ、ファシリテーターのテクニックを意識してみて。少人数の気心の知れた仲間を相手に「筋トレ」しましょう。
 ファシリテーションを念頭に置けば、対話はより深まるはず。対話が深まれば多様な意見も受け入れやすくなり、職場の雰囲気もよくなるはずよ。

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指導:松原美里

保育コミュニケーション協会代表

保育園、児童養護施設で保育者として勤務。元認定こども園エクレス保育園部施設長。コーチング、心理学等を学び、現在は保育者の人間関係・育成・リーダーシップ・マネジメント研修を担当。

イラスト:えのきのこ

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