保育者お悩み相談室⑪
【不適切な保育が行われたとき、園長としてどう指導すればいい?】
2025.02.07
悩みをこじらせる保育者に、保育コミュニケーションのスペシャリストであるみさと先生が、3つの処方箋をお出しします! 今回は特別版、みさと先生の実体験からのお悩みです。
【お悩み⑪】
不適切な保育が行われたとき、園長としてどう指導すればいい?
子どもをどなりつけてしまう職員に、詳しい事情を聞こうとしたら、責められたと感じたのか、「私のこと、ダメな保育者と思っていますよね?」と言って辞めてしまったことが……。あのとき私は、どうすればよかったのでしょうか。
(相談者 みさとさん)
【みさと先生の処方箋A】
個人の問題でなく園の課題と捉える
いま思い返すと、職員を呼んで一対一でヒアリングするのではなく、子どもへのかかわりを見つめ直すために園全体で研修として取り組めばよかったと思います。何か問題が起こったとき、特定の人を追い詰めるのではなく、起こった背景を考えることが大事。状況によって誰にでもそうさせてしまう原因があるかもしれないという認識で、園の課題として取り組むとよいですね。
【みさと先生の処方箋B】
問題解決に向けて全員で学ぶ
このようなケースでは、感情・行動コントロールを再確認する園内研修がお勧めです。保育の場でどんなときに感情的になりやすいのか、職員の意見を共有し、不適切な行動を取りそうなときに、感情を落ち着かせる手段を学びます。イライラや焦りが強いときは、一人で抱え込まず、周囲に助けを求めるようにするなど、チームでの対応策も立てておきましょう。
【みさと先生の処方箋C】
職員への啓発につなげる
研修を、子どもの人権について考える機会にできるとさらによいですね。自分がされて嫌な行動・言われて嫌な言葉は何か、それを子どもにしていないか、職員で話し合います。ある園では、「子どもに近づいて鼻水を拭く」といった、ふだん行う行為も、「実はこの行動ってどうなの?」と見直す機会になったそう。こうした場を重ねると、保育の底上げにつながります。
これだけはNGです。
不適切な行動を取ってしまった職員に対し、理由を問いただすのはNGでした(涙)。罪悪感が強ければ強いほど、責められていると感じて、さらに追い詰められてしまうのでしょう。結果、負の感情が子どもに向かう危険性もあったかもしれません。
ちょっとTRY!
間違った行動を指摘されたり、失敗したりしたとき、人はもろく不安定になります。そんなときは、その人の思いに寄り添うコミュニケーションを心がけましょう。笑顔で挨拶をしたり、こまめに雑談したりしつつ、「あなたの味方だよ」というメッセージを送るのです。つまずいたとき、周囲に温かく受け止めてもらえると、それが立ち直る勇気につながります。「責めるのではなく寄り添う」を心がけたいものです。