まなびの部屋

教育・保育実習 先輩からのアドバイス
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がんばれ!保育・教育実習
保育・教育実習は、実習生にはもちろん、保育者にとっても大きく成長する機会です。有意義な実習期間を過ごすためのヒントを、保育者の養成と現場での指導にかかわられている阿部恵先生にうかがいました。

指導= 阿部恵(道灌山学園保育福祉専門学校講師/道灌山幼稚園主事)
【1】事前にチェックしよう
【2】書き方とポイント
【3】実習生の記入ポイント+保育者のアドバイスポイント
事前にチェックしよう
「実習生の心がまえ」と「保育者のフォロー」は対応しています。相手の立場を理解しておきましょう。
実習生の心がまえ 保育者のフォロー
体調を整えておこう
実習期間は2〜4週間。慣れない保育、実習記録の作成、次の日の準備と、大忙しです。ふだんの学校の生活とは、リズムも違ってきます。途中で体調を崩せば、実習園にも迷惑が。最低1〜2週間前から、規則正しい生活や食事をして、万全の体調で実習に臨みましょう。
実習生の体調にも配慮してあげよう
慣れない環境や緊張のあまり、具合が悪くなる実習生もいます。また、体調が悪くても、言い出せないことも。変だと思ったら、「遠慮なく言ってね」と声をかけましょう。状況によっては、「今日は午前中の記録だけにしましょう」と、実習生の負担を軽減するような臨機応変の指導を。
友達と協力して技術を磨いておこう
絵本の読み聞かせ、紙芝居などの部分実習が、自信を持ってできるようにしておきましょう。それには、友だちと演じ合い、意見を出し合うのがベスト。思いがけずにいい案が浮かぶものです。年齢にあったあそびをいくつか用意して。
経験のチャンスを与えよう
体験の機会を多く設定し、適切なアドバイスをしてあげましょう。例えば、読み聞かせの場合、「声が大きくて抑揚もよかったけれど、子どもたちが見やすいように本を傾けて」など、否定的なことばだけでなく、褒めることも忘れずに。
具体的な目標を持とう
「あいさつ・返事を忘れない」「2歳児の発達のようすを知る」など、具体的な目標を立てると、実習のポイントが見えてきます。目標がしっかりしていれば、子どもと接するときにも、実習記録を書くときにも、より明確に課題をとらえられます。
目標を聞いておこう
初日でもいいですから、実習生の目標を聞いておきましょう。目標を考慮して指導をすると、保育もスムーズに。実習生がパネルシアターなどの準備をしてきたのに、機会がなかったということのないように。後輩を育てる気持ちがだいじです。
「報・連・相」を忘れずに
園の先生には、必ず「報告・連絡・相談」をしましょう。例えば、園児が頭にこぶを作ってしまったなどというときに、「このくらいならだいじょうぶ」と、かってな判断は禁物。あとで保護者から連絡が入って、「知っている保育者はひとりもいなかった」ではたいへんです。
具体的に指示を出そう
「何か質問はないですか?」という抽象的な言いかたは、答えに困ります。例えば、うれしくて実習生をける子がいるのに、対応がわからないようすだったら、「○○くんがけるみたいだけど、どう思う?」と、聞きましょう。掃除などを頼むときも「ここが終わったら、報告してください」と、具体的な指示を。
失敗を恐れないで
実習は保育者としての初めの1歩。「失敗してあたりまえ」という気持ちで、積極的に参加しましょう。しっかりと実習記録に残して、その反省を次のときに生かします。失敗が貴重な経験となるでしょう。
失敗こそが実習生の糧
「実習は失敗の場と思ってください」。そんな保育者のひとことが、実習生をやる気にさせ、育てます。きちんとできたときは、褒めことばとともに「ありがとう。助かったわ」と感謝の気持ちを伝えましょう。
書き方とポイント
記録を書く実習生、アドバイスする保育者。それぞれの立場でどのようなことに注意を すればよいのか、そのポイントを幼稚園での実習記録を例に、わかりやすくご紹介します。
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阿部先生のチェックポイント
初めての実習の2日目。初日で園生活の流れを中心に見たので、実習生の2日目のねらいとしては妥当です。
保育者はただ「元気よく行っている」だけではありません。全体やひとりひとりに対する目配りも書きましょう。
「出席確認」をするのは保育者で、「幼児の活動」としては、「出席調べを受ける」といった表現に。
保育者の配慮をしっかりと読み取っています。表面的な行動だけを記すのではなく、どんな配慮があっての保育者の言動か、考えてみましょう。
製作や昼食など、机の配置もさまざまな配慮のもとに行われています。この欄に図示しておくとよいでしょう。
どのような声かけだったか、具体的に記しておくと、後で参考になります。
初めての実習、しかも2日目にしては、積極的に参加しながらいろいろなことに気づいています。先は長いので、これから見かたを深め、考察を加えたり、ねらいに対する評価をしたりして記録に残すと、より質の高い実習になります。
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実習生の記入ポイント+保育者のアドバイスポイント
実習生の記入ポイント
★ねらい
実習するクラスの週案などを、事前に見せてもらいましょう。保育の流れを知ったり、ねらいを立てたりするのに役だちます。
この例のように、保育者と実習生のねらいを分けて書いておくと、その日の反省や評価もしやすくなります。
★乳児・幼児の活動
主な活動は◎印をつけて目だつようにし、それに付随した活動は、・印をつけて小さめに書くと見やすいでしょう。
この欄は、乳児や幼児の立場での記述です。保育者や実習生の立場での記述と混同しやすいので注意しましょう。
★保育の配慮
子どもたちへのさまざまな配慮の中で、たいせつだと思われることを記します。
保育者の配慮は、保育者の言動などをよく見聞きして、そこから読み取ります。実習生は、自分が子どもとかかわりながら配慮したことを書きます。
★環境・準備
準備する物を記すだけでなく、環境の整備はどのように行われているか、準備はどんな配慮でどこまで保育者の手が入っているかなど、記入の視点を定めておきましょう。
★幼児の観察・感想・保育の反省・考察・評価など
ずらずらと書くと読みにくくなるので、・印をつけてまとめてみましょう。
「幼児の観察」や「感想」は、特に印象に残ったことを記入します。
「保育の反省」はマイナス面が多くなりがちですが、プラス面も見つけましょう。
実習がすすんできたら、「考察」も。今までの学習を踏まえて、子どもの行動や問題を深く考えてみます。
「評価」は、自分のねらいに対するその日の評価。あしたへのステップになります。
保育者のアドバイスポイント
できるだけ、実習生の学校の記録簿に合わせて指導しましょう。
記録簿を書くのに、どのくらいの時間を費やしているのか聞いてみてください。5〜6時間もかかっているとしたら、睡眠時間が削られているということ。そのうえでのアドバイスが必要です。
記述の誤りや不足を指摘するだけでなく、よい点も見つけて認めるようにすると、記録もよくなります。
保育終了後のちょっとした時間に、その日の保育のポイントを話したり、実習生の感想を引き出し、「そこがたいせつですから、記録に残しておいてください」と伝えましょう。実習生にとって、ありがたいヒントになります。
保育のしかたも記録の取りかたも“百人百様”。みずからの勉強、自分の保育の反省と考えれば、助言のしかたも変わります。
 
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